
業務用洗浄機が突然止まってしまった、異音がする、エラー表示が消えない、水漏れが発生する、といったトラブルは生産ラインに大きな影響を与えます。本記事では、よく起こるトラブルの種類から基本的な対処法、さらに故障を未然に防ぐメンテナンス方法まで、現場で役立つ実践的な情報をお伝えします。
業務用洗浄機で起こりやすいトラブルの種類
業務用洗浄機は、日々の使用によりさまざまなトラブルに見舞われることがあります。使用する洗浄剤の種類や洗浄方法によって故障の原因は異なりますが、一般的に高温で使用するほど部品への負荷が大きくなり、故障リスクが高まります。超音波関連のトラブル
超音波関連のトラブルは最も頻繁に発生する問題です。超音波槽への部品落下によるエロージョンという物理的な力が加わることで超音波振動子が脱落したり、長期間の使用による超音波発振器や振動子の機能低下が起こったりします。これらの故障は洗浄不良の直接的な原因となります。液面センサーの動作不良
液面センサーの動作不良も深刻な問題を引き起こします。フロートスイッチやレベルセンサーに汚れが付着すると、センサーが正確な液面を読み取れなくなります。その結果、超音波が動き続けたりヒーターが切れずに空焚きしたりするなど、二次的なトラブルを招く恐れがあります。加温機器の故障
加温機器の故障も頻繁に見られます。ヒーターに付着した汚れによる過剰加熱が断線を引き起こしたり、経年劣化により機能が低下したりすることで、ベーパー洗浄不良や蒸留再生不良が発生します。間接加熱を採用している場合は、熱媒油の劣化による配管詰まりや循環不良にも注意が必要です。フィルターやストレーナーの詰まり
フィルターやストレーナーの詰まりは、定期的な交換や清掃を怠ることで発生します。循環ろ過機能が低下すると、被洗浄物への異物付着が繰り返され、生産性や品質の著しい低下を招きます。循環ポンプの故障
循環ポンプの故障はとても重大なトラブルです。異物を吸い込むことでポンプが回転しなくなったり、インペラーと呼ばれる羽根部分が摩耗したりすると、洗浄液の循環が停止し洗浄槽内が汚染されます。トラブル発生時の基本的なチェックポイントと対処法
業務用洗浄機にトラブルが発生した際は、まず落ち着いて状況を把握することが重要です。ここでは、トラブル発生時のチェックポイントと対処法をご紹介します。状況把握とエラーコードの確認
洗浄機が稼働中に停止した場合、多くの機種では操作パネルにエラーコードが表示されます。このエラーコードを確認し、取扱説明書と照合することで故障箇所の特定が可能です。エラー解除が可能かどうかも同時に確認します。異音発生時の対応
異音が発生している場合は、音の発生源を特定することから始めます。モーターからの異音であれば軸受けの摩耗や異物の噛み込み、ポンプからの異音であれば空運転やキャビテーションの可能性があります。音の種類や発生タイミングを記録しておくと、修理業者への説明がしやすくなります。水漏れの確認と対処
水漏れを発見した場合は、漏れている箇所の特定が最優先です。配管の接続部、パッキン周辺、タンクの溶接部などを重点的に確認しましょう。少量の漏れでも放置すると被害が拡大するため、発見次第すぐに対処する必要があります。温度異常の点検
温度異常の場合は、ヒーターの動作確認から始めるとよいでしょう。設定温度に達しない場合はヒーターの断線や温度センサーの故障が考えられます。逆に温度が上がりすぎる場合は、温度制御系統の不具合や冷却水系統の異常を疑います。液面異常アラームへの対応
液面異常のアラームが出た場合は、フロートスイッチやレベルセンサーの汚れを確認してください。センサー部分に付着した汚れを清掃することで、多くの場合は正常に戻ります。ただし、センサー自体が故障している場合は交換が必要になってしまいます。専門業者への依頼の重要性
上記の初期対応で解決しない場合や故障原因が特定できない場合は、無理に自社で対処しようとせず専門業者に依頼することが賢明です。とくに電気系統や制御系統のトラブルは、専門知識なしに触ると事態を悪化させる恐れがあります。日頃から信頼できる修理業者との関係を構築しておくことで、トラブル発生時の迅速な対応が可能となります。
故障予防と長く使うためのメンテナンスのコツ
業務用洗浄機の寿命は日々のメンテナンスによって大きく左右されます。適切な管理を行えば5年以上安定稼働する洗浄機も、メンテナンスを怠ると3年程度で大規模な修理が必要になることがあります。液面センサー類の定期清掃
日常的なメンテナンスとしてもっとも重要なのは、液面センサー類の清掃です。フロートスイッチやレベルセンサーに付着した汚れは週に1回程度拭き取ることで、誤作動を防げます。循環系統のフィルターとストレーナーの管理
循環系統のストレーナーやフィルターは月に1回の清掃と、3か月に1回の交換が目安です。電気ヒーターのメンテナンス
電気ヒーターを使用している場合は、ヒーター表面の汚れを定期的に除去することで熱効率を維持し、断線を防ぎます。間接加熱システムの熱媒油交換
間接加熱で熱媒油を使用している場合は、年に1回のオイル交換が必要です。専門業者による定期点検の実施
基本的なメンテナンスに加えて、年に2回程度の専門業者による定期点検を実施することで、潜在的な故障リスクを早期に発見できます。専門業者への依頼タイミングは、異音の発生、洗浄能力の低下、エラー頻度の増加などの兆候が見られたときです。早めの対応により大きな故障を防ぎ、修理費用を抑えることができます。